山月記

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李陵・山月記 (新潮文庫)

李陵・山月記 (新潮文庫)

 

 
青空文庫にあるような小説を
本当に少しずつ少しずつですが
読み進めていて

山月記を今更ながら読了しました。

学生時代に読まないのかと言われれば
もうほんとにそうですねーというところで
ずっと気にはなっていましたが
読まないまま大人の年齢になっていました。

そしていま山月記だけとりあえず読み終え
その素晴らしく直截的でありながら美しい
「意志」を感じる文章に感銘を受け
せめてもの記録にと
読了したことをここに記しておきます。

なんという短さ。
予想以上に短編でした。
そしてそのなかにある文章に宿る意志の清廉さ。

中島敦という作家が早世であったことは
読んだことすらない私ですらも
それを惜しむ気持ちが常にあったのですが、
実際読んでみてこのような内容の小説を残しながら
本人が早くに亡くなるとは
作家自身はどれほどの気持ちであったのか
と思うとまた一層
すぐにはまとまらぬ表しきれぬ
気持ちにさせられて堪らないようでした。

山月記は、
詩人としてのおのれの才を発揮しきれないまま
数奇な運命によって「虎」になった人の
心の吐露という形を取っています。

その短く美しくまとめられた内容の中に、
創作や表現を生業にすることに対する心持や、
そしてそれを生業としながら
市井の人間として生活もせねばならない
しかもそれをおろそかにするのは
自分で許せないというような高潔さが
詰まっていると感じました。

美しく整った分かりやすい文章にも拘わらず
訴えかける内容が表現されていて
そこに高潔な精神までも窺われ
どうしてこのような作品を著す人が早世であったのか
このような人であったからこそなのか
と、またどうにもならないことを思わされもしました。

李陵もまだ読んでいる途中なので読み進めたいです。

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